14)産業廃棄物の法的規制
13.法的規制について
焼却炉に関係する法律は建築基準法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)、大気汚染防止法、騒音規制法、振動規制法である。本来この法律によって指導、許可、管理するのは知事であるが、廃掃法の八条に規制される保健所を設置する市(政令市)にあっては市長となる。
◎政令市。
保健所法 1「保健所は、地方における公衆衛生の向上及び増進を図るため、都道府県又は政令で定める市が、これを設置する」この政令で定める市が政令市である。廃掃法8-1の括弧書き「保健所を設置する市」がこの政令市に相当する。
(1)は一号市は政令市、(2)は二号市は中核市、(3)は三号市として保健所を設置している。《》は所管県。
北海道厚生局⇒札幌市(1)函館(1)旭川(2)小樽(3)
東北厚生局⇒青森(2)/盛岡(2)/仙台(1)/秋田(2)/《山形県》/郡山(2)・
いわき(2)
関東信越厚生局⇒《茨城県》/宇都宮(2)前橋(2)高崎(2)/さいたま(1)
川越(2)越谷(2)/千葉(1)船橋(2)柏(2)/八王子(2)町田(3)/横浜(1)
川崎(1)相模原(1)横須賀(2)藤沢(3)/新潟(1)/《山梨県》/長野(2)
東海北陸厚生局⇒富山(2)/金沢(2)/岐阜(2)/静岡(1)浜松(1)/名古屋(1)
豊橋(2)岡崎(2)豊田(2)/四日市(3)
近畿厚生局⇒《福井県》/大津(2)/京都(1)/大阪(1)堺(1)東大阪(2)
高槻(2)豊中(2)枚方(2)/神戸(1)姫路(2)西宮(2)尼崎(2)/奈良(2)/
和歌山(2)
中国四国厚生局⇒《鳥取県》/《島根県》/岡山(1)倉敷(2)/広島(1)
福山(2)呉(3)/下関(2)/《徳島県》/高松(2)/松山(2)/高知(2)
九州厚生局⇒福岡(1)北九州(1)久留米(2)大牟田(3)/《佐賀県》/長崎(2)
佐世保(3)/熊本(1)/大分(2)/宮崎(2)/鹿児島(2)/那覇(2)。
13-1.環境アセスメント(Environmental assessment)
自然環境に手を加えたことにより、或いは建設後に環境破壊、汚染の畏れのあるものに対して事前に、客観的に調査、予測及び評価を行う手法である。地方公共団体に於ては、条例、要綱等で義務付けている所が増加している。
13-2.51条規制。
建築基準法においては51条とよばれる規制がある。これは焼却炉、破砕機などを設置して、その能力が一定値をこえると、都市計画地方審議会(都計審)を経ることを規定したものである。そのほか建築基準法施行令には、工作物の建築確認を必要とするものが定められている。
◎建築基準法
(卸売市場等の用途に供する特殊建築物の位置)
第51条 卸売市場、火葬場又はと蓄場、汚物処理場、ごみ焼却場その他の処理施設の用途に供する建築物は、都市計画において其の敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならない。ただし、特定行政府が都市計画地方審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合又は政令で定める規模の範囲内において新築し、若しくは増築する場合においては、この限りでない。
◎建築基準法施行令
(工作物の指定)
第138条 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物
一 高さが六メートルを超える煙突
3五 汚物処理場、ごみ焼却場その他の処理施設で、都市計画区域内にあるもの。
13-3.法による焼却炉と廃棄物の規定
焼却炉、及びそれを扱う業である中間処理業を行う場合は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」〔廃掃法〕、「大気汚染防止法」〔大防法〕の規定に従わなければならない。これは保健所が窓口となり、最終的には県(政令市では市)のヒヤリングをうけ、知事がその決定権をもつ。それ以外に、消防署を相手にする消防法や、市町村が管轄する騒音規制法、振動防止法がある。
◎廃棄物の処理及び清掃に関する法律〔一部抜粋〕
第2条この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものをいう。
3この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
4この法律において「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚でい、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物をいう。
5この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
(産業廃棄物処理業)
第14条産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
4産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
8第一項の許可を受けた者(産業廃棄物収集運搬業)又は第四項の許可を受けた者(産業廃棄物処分業者)は産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行なわなければならない。
9産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を他人に委託してはならない。
◎廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令
(特別管理一般廃棄物)
第1条法第2条第3項の政令で定める一般廃棄物は、次のとおりとする。
一 次に掲げるものに含まれるPCBを使用する部品。
イ 廃エアコンディショナー ロ 廃テレビジョン受信機 ハ 廃電子レンジ
(産業廃棄物)
第2条法第二条第4項の政令で定める廃棄物
一 紙くず(パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業、及び印刷物加工業に係るもの並びにPCB〔ポリクロリネイテッドビフェニル〕が塗布されたものに限る)。
二 木くず(建設業に係るもの並びに木材又は木製品の製造業、パルプ製造業及び輸入木材の卸売業に係るものに限る)。
三 繊維くず(繊維工業に係るものに限る)。
四 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物。
五 ゴムくず。
15)に続く。