40.小型炉で廃プラは燃やせない。41.小規模焼却炉は「原則使用禁止」。
40.小型焼却炉で廃プラは燃やせない。
「特定小型焼却炉」とは炉床面積2平米・処理量200㎏/h未満の焼却炉の内、炉床面積0.5平米・処理量50㎏/h以上のものである。この大きさの焼却炉は大気汚染防止法には抵触しないが、ダイオキシン特措法により、年一回ダイオキシン測定を義務づけられている。
この焼却炉では廃プラを燃やすことは出来ない。廃掃法の施行令第六条八項に⌈廃プラスチック類の焼却施設であって、次のいづれかに該当するもの」であり、⌈イ 一日当たりの処理量が、百キログラムを超えるもの。」とある。
だからこれに該当する炉は「特定小型焼却炉」ではなく、『廃プラスチック類の焼却施設にあたる』だから、廃掃法施行規則第四条七項の「焼却施設にあっては次の要件を備えていること。⌋に該当する。
次の要件とは第四条七項⌈ロ 次の要件を備えた燃焼室が設けられていること⌋ とあり、イ 外気と遮断された状態で定量づつ…投入すること。ロ (1)燃焼ガスの温度が800℃以上… (2)2秒以上滞留できる (3)外気と遮断 (4)助燃装置が設けられている (5)燃焼に必要な空気の供給できる設備。ハ 温度を連続的に測定かつ記録するための装置… ニ 燃焼ガスの温度をおおむね200℃以下に冷却できる冷却装置… ホ 冷却された燃焼ガスの温度を連続的に測定かつ記録… へ 生活環境上の支障が生じないようにすることが出来る排ガス処理設備(ばいじんを除去する高度の機能)…
煤塵を除去する高度な機能とは、スクラバー、バグフィルター、電気集塵機である。サイクロン集塵機は高度な機能にあたらない。ト …一酸化炭素の濃度を連続的に測定、かつ記録…とあるようにこんな装置をつけなくてはならない。
即ち1日に廃プラを100㎏以上処理する焼却炉は「特定小型焼却炉」ではなく、焼却施設にあたり、廃掃法施行規則第四条七項の上記のような要件を備えなければならない。もちろん申請不要と言われダイオキシン測定を免除された、炉床面積0.5平米・処理量50㎏/h未満の焼却炉にあっては尚更、メーカーがどのように言っても廃プラを燃やすことは法律違反であると心得る事。それはメーカーの責任ではなく使用した人の責任である。
メーカーが100kg/day未満の廃プラの小型炉だと称しても、この炉は100kg/day以上の廃プラは絶対に燃やせない、という証明(不可能)が出来なければそれは法律違反となり、廃プラの焼却施設としての改造を命じられる。県によっては見逃される等の甘い期待は抱かないほうがよい。
追記 小規模焼却炉を表現する場合、1時間当たり50kg未満となっているが焼却炉のメーカーは炉内容積で表している。廃プラの比重は「行政インフォメーション」の産業廃棄物の種類と体積から重量への⌈廃プラスチック類」の換算係数は0.35となっている。法律における50kgは容積にすると、143リットルとなる。すなわち廃プラ50kgは143リットルになる。内容積143リットルの炉には50kgの廃プラを投入できる。しかしそれでは法律に違反することになるのだ。
同様に廃プラ100kg/day未満というのは286リットル未満という事になり、この容積以上を投入できる焼却炉は、小型焼却炉ではなく焼却施設という事になり(廃掃法第六条八項)、この焼却施設は⌈800℃の二秒間滞留」⌈CO濃度計の設置」⌈排ガスを200℃以下に冷却」⌈塩化水素除去装置」⌈電気集塵機、バグフィルター、スクラバーなどの高度の集塵機⌋を取り付けなくてはならない。警察や役所に見つかった場合は(製造者ではなく)使用者が書類送検となるから注意することだ。
(追記)「体積から重量への換算係数」(行政インフォメーション)
燃え殻(1.14) 廃プラ類(0.35) 紙屑(0.30) 木屑(0.53) 繊維屑(0.12)
動植物性残さ(1.00) 天然ゴム屑(0.52) 動物の死体(1.00)
ばいじん(1.28) 動物の糞尿(1.00)
廃プラは1㎥=350㎏・この数値がお役所の基準となる。
41.小規模廃棄物焼却炉は「原則使用禁止」。
平成14年12月、火床面積0.5平米未満かつ、処理能力50㎏/h未満の小規模廃棄物焼却炉は、今まで⌈許可申請の不要な焼却炉⌋「⌈ダイオキシン測定の免除された焼却炉」されてきたが「東京都環境確保条例第126条」で原則使用禁止になった。これは全国的に順次適用されるだろう。
焼却炉メーカーも⌈許可申請不要⌋⌈ダイオキシン測定免除」ということで、それを武器にして多く売り、宣伝していたはずだ。この焼却炉にも届出制度が始まる。もし逆らってこれをやらないと、この罰則が結構大きい。5年以下の懲役、1000万円以下の罰金、またはその併科に処せられるから、使う人は産廃業者であろうと、一般家庭であろうと関係なく処罰される。使用中の炉は下記を参考にして改造することをお勧めする。
① 空気取り入れ口および煙突の先端以外に、焼却設備内と外気と接することなく、廃棄物を焼却出来るものであること。
② 焼却に必要な量の空気の通風が行われるものであること。
③ 外気と遮断された状態で、定量づつ廃棄物を燃焼室に投入することが出来ること。
④ 燃焼ガスの温度が摂氏800度以上の状態で廃棄物を焼却できるものであること。
⑤ 燃焼室中の燃焼ガスの温度を測定できる装置温度計があること。
⑥ 燃焼ガスの温度を保つために必要な助燃装置があること。
上記基準を満たしていない小型焼却炉、家庭用焼却炉、は使用できない。但し、ガス化炉でバッチ式は③を免除される。炉床面積2平米未満、処理量200kg/h未満(勿論0.5平米、50kg/h未満も含む)の焼却炉にはこの六つの条件を満足されているだろうか。
メーカー、ユーザーともに確認されたほうがいい。小型焼却炉だからと言って手を抜くことは許されない。これらの条件が満たされていないと使用禁止のみならず、罰則が科されることになる。焼却炉は大型であっても小型であっても、同じ廃棄物が投入され、同じ温度で燃やされ、同じ有毒ガスが発生する。大型も小型も同じ構造でなければおかしいと考えるべきで、小型炉だと免れるは通用しないのが焼却炉の世界である。
平成14年4月1日より施行された東京都環境確保条例第126条(廃棄物等の焼却行為の制限)(一部抜粋)によると、「何人も、廃棄物を焼却するときは、ダイオキシン類等による人の健康および生活環境への支障を防ぐため、小規模の廃棄物焼却炉(火床面積0.5平米、焼却能力50㎏/h未満の炉)により、廃棄物を燃やしてはならない」と明確に記載されている。
また東京のみならず、各自治体の小型焼却炉が書かれたホームページにも「原則使用禁止」と記されている。上記条件を備えている焼却炉でも、自治体の許可を得るまでは結構苦労することと思う。私の言葉を信じられない方は、「小規模廃棄物焼却炉」「家庭用焼却炉」をキーワードにしてインターネットで調べられることをお勧めする。