24.僻地ゴミの処理費。25.輻射熱の有効利用。
24.僻地の家庭ゴミの処理費、高いのか安いのか。
僻地の村や離島の家庭ゴミの処理費用を聞いて驚いた。どうしてそんなに高いの?それだったら一年間の処理費で立派な焼却炉が出来る。でも村や町の町長さん、議員さん達がそんな事情を知らないのではないか。他からも聞いたが、各地の議員さん達は、将来も絶対に無くならない廃棄物事情に疎いのか・・・いや疎いと言うことさえ知らないのではないか・・・(私は電話の前で唖然とした)。パソコンを開けば情報があふれているこんな時代に、なぜ情報を得ようと勉強しないのだろう。廃棄物の処理費、焼却炉の価格なんて知らなくても村や町の行政はやっていける・・・そんなところだろう。日本の各地の行政も、よほどの特産物がない限り、台所は苦しいはずなのだが・・・。
現在の法律で200kg/h未満の焼却炉(設置届だけで出来る)で1日、1600kg未満の廃棄物は処理可能である。この焼却炉はいくらで出来るかと試算すると、概算で《焼却炉+付帯設備(6000万円)灯油・電気代(190万円/年)補修費・諸経費(150万/年)運転の人件費(860万円/年)》で3年間9600万円で収まる。この価格は技術のある正当な焼却炉業者なら可能な価格である。
試算したのは人間一人当たり家庭ゴミを出す最高値は0.8kg、4000人で3200kg/日である。 こう考えて高い安いの基準となる数値を作ってみた。それが 8000円×村(町)の総人口 という数字である。たとえば4000人の村とすれば家庭ゴミ(一般廃棄物)の年間の処理費用32,000,000円より高ければ、現在の処理費用は高いと考え、焼却炉のある街への収集運搬費、処理費がこれを越えていれば、その村(町)に焼却炉を作ることをお勧めする。ごみの運搬に費用をかければそれだけ油(ガソリン、軽油、重油)を消耗する、エコにとっても大切だ。
多分健全な処理費で頑張っておられる町も収集運搬業者もあるだろう。町が作った焼却炉を産廃業者が運転するのが最も良い解決方法だろうと考える。8000円×村(町)の総人口という基準が町の予算の助けになれば嬉しい。
下の写真を参考にされたい。だいたいこんな形の焼却炉となる。
25.輻射熱の有効活用。
輻射熱を内に閉じ込めることのできる焼却炉ほど優秀なものであることはいうまでもない。そもそも輻射熱とはなんだろう、その大部分は赤外線である。赤外線は波長が800nm~1㎜(800nm~1000000nm)の波長を持つ電磁波であり、熱線であるから晒されると強い熱さを感じる。焼却炉の扉が前に開くタイプのものでは、扉の内面にうたれた耐火材が真っ白に光り、その輻射熱は10m以上離れていても堪えられないような熱さを感じる。
赤外線の中でも波長が5マイクロメートル(5000nm)以上の物は遠赤外線とも呼ばれ、運転中の焼却炉の周囲が通常温度より20℃ほど高いのはこの熱線の働きである。これらの熱は焼却炉にとっては熱損失であるから、当然これは少ないほどいいが、断熱材にかかる費用から考えるとやむえないかもしれない。しかし、内部の構造は出来る限り、この熱線を焼却物や焼却ガスに対して、有効に使われることが望まれる。
この輻射熱に一番晒されるのは、投入扉や灰出し扉などの可動部である。これをスライドして動かす投入扉は、この輻射熱によって大きく太鼓(タイコ腹のように中央が膨れる)状になり扉をチェンブロックで引き上げると、膨れ上がりが抵抗となり扉は動かなくなる。これを無理やり引き上げると、耐火材は剥がされる。
経験のある設計者は、投入扉を垂直にするのではなく、10°~15°傾けておく。この扉の両サイドにレールを付け、引き上げると扉が浮き上がるような構造にする。この持ちあげる寸法は、私の経験では5.5m角×耐火材150㎜の扉で、対角方向の反りは80㎜、ちょっと驚くような寸法であるが参考にして頂きたい。それが嫌なら水冷の扉を考える以外にないだろう。
反対にこの輻射熱を有効に使う方法としては、二次燃焼室を円筒形にすることである。円筒状になった耐火材は輻射熱を中央に集め、二次燃焼室の中央部が一番高温になる。この二次燃焼室に放射状に燃焼空気を入れることで完全燃焼がはかれる。一次燃焼室から送り込まれた未燃ガスはここで自燃しガスは高温を保ち続ける。これで失敗したことがなく私の大きな自信となっている。