4)焼却炉製作の基本

  

◎焼却炉製作の基本。

 

焼却炉設置のコンクリートは2030cm、二重配筋とする。

 

●ピット内に設置する焼却炉では、炉内は常に負圧にすること。内圧が上がると、酸化炭素が炉の隙間より漏れて、ピット内に溜まる可能性あり、爆発を起したり、人体に害を与える危険性がある。

 

小型の焼却炉(炉床面積平米、処理量200/H未満)の容積は熱負荷率を250,000kcal/立米と規定されている。この焼却炉で木くずを燃やすと木くずの低位発熱量を3300kcal/kgとして、200×3300/250,0002.6となり、この小型焼却炉の容積は2.6立米となる。

 

●大型の焼却炉は熱負荷率を規制されていないので、100,000150,000kcal/が適当である。参考は「ごみ処理施設構造指針解説」にある、バッチ燃焼式40,000100,000kcal/立米、連続燃焼式80,000150,000 kcal/立米を使用すれば問題は無い

 

焼却炉を基礎ベースに固定するのはアンカーボルトで行う。焼却炉サイクロン、冷却塔、バグフィルター、誘引ファン等の固定は、ケミカルアンカーやホールインアンカーを使い、最終的には仮乾燥炊きの終了時点、各部品の位置が決まった段階で固定する。アンカーボルトをコンクリートに埋め込むものは、膨張で位置がずれて寸法が合わなくなる。

 

両側面から空気を供給する焼却炉にあっては、押し込みファンの静圧300mmAq(3kPa)では、炉の内寸の幅は2.5m~2.8mが限度である。このタイプの炉では供給空気が燃焼物全体に届くように寸法を決めるべきで、無駄に大きくすると供給空気は炉内を冷却する空気になる。

 

●ダクトや二次燃焼室などが、熱により膨張して寸法が伸びる。その分両端が地獄になるような、固定方法は避ける。

 

焼却炉の構造は出来る限りシンメトリーを守ること。でなければ時間がたてば高温により炉全体がねじれてくる。

 

●炉の投入口の下辺は人の重心より低くしてはならない。GLより最低1100mmの高さ以上にする。作業者及び見学者の安全のためである。

 

●投入扉灰出扉をつりあげる場合は、チェンブロックは台並列に使用してはいけない。1台で能力を二倍にして使う事。チェンブロックような荒い動きのものは同期させることは困難で、必ず片効きになる。

 

●シリンダー操作も2本並列の場合は傾き、ロックされやすいので注意。

 

●熱のかかるところに鉄板を使い、両端を地獄にすると、鉄板は波打ったり、反り返ったりして使い物にならない。

 

●輻射熱があたる耐火材を打った扉は、熱により太鼓状に反る事を覚悟しておく。3000mm30mm。面で言えばその√2倍。ギロチン式にする場合はスライドする隙間に注意。出来る限り隙間を作らず、5度程度の傾斜をつけて扉の重量を利用してスライドさせる。

 

●燃やすものが特別管理廃棄物の爆発物、若しくはスプレー缶や密封瓶(薬品の空き瓶)爆発の恐れがあれば防爆扉をつける。防爆扉は上向きの片方ヒンジの扉にして、耐火材の重さを利用すればいい。

 

●焼却炉の側板は厚すぎないようにして(4.5t6t)5075幅のFBで補強する。FBのピッチは300450mmとする。耐火材と鉄板は熱膨張は鉄板の方が大きい。耐火材(線膨張率・0.2/1000℃)鉄と膨張率が違うことで、高温状態では耐火材にクラックが入る。温が低くなるとクラックは閉じる。

 

●鉄板の補強とするフラットバーの、取り付け溶接ピッチ150mm接長さ50mmを目安とする。

 

●耐火材のアンカーはステンレスの10Φ、Y型、鉄板に取り付けるピッ150mm、千鳥、隣り合う二つは90°回転して溶接。アンカーにはポリエチレン被膜付のものを使用する(Y型アンカー、PP被膜にはメーカーがある)。

 

●耐火材を炉の天井に打つ場合は、炉の天井部分に250Φ程度の穴をか所開け、耐火材を流し込んだ後、鉄板を使って穴を埋める。

 

●投入装置のスライド部分は、左右抵抗の少ない車輪つ以上使用しければ、熱がかかると熱膨張で動かなくなる。

 

押し込み投入装置の場合は、冬と夏で油圧の速度、ストローク長さ変わることを配慮し、リミットスイッチの位置に注意する事。

 

●炉中に投入した焼却物が滑り落ちるようにするためにの角度は、水平50度~60度以上とらなければ、滑りおちない。滑り落とすた斜面にも、下方に向けて空気穴を設けておくこと。灰も同様である。

 

●人(特に見学者)が触れる炉壁には、耐火材と鉄板の間に、必ず断材(30~50mm厚以上)を入れる。高温のダクトやパイプには人が触れないように柵をするか、「高温注意」の札をつける。

 

●空気の供給口は灰やクリンカーがつまることが原因で、流動床で無い限り底から入れてはならない。25Φ~32Φのパイプにして、できる限り四方の側面から入れる。空気穴の間隔は150200mmとして、下端の限度は炉底から150mm~200mmとする。

 

●炉内に稼働する金属部品を入れることは、出来る限り避けた方がよい。どうしても必要な場合は必ず内部に水を通すこと。水冷でなければできるだけ単純な構造にして、表面には耐火材を張ること。

 

●空気供給口の周辺はクリンカーが成長しやすいので、一週間に一回ハンマーで叩いて落とすことを徹底する。クリンカーは発達すると空気供給口を塞いで空気の流れが悪くなる。

 

●覗き窓のガラスは、耐熱ガラスでも煤が付き、輻射熱で必ず割れる。炉内負圧の場合は、100Φ~150Φの穴でフランジだけで良い。出来れメクラフランジで一カ所にボルトを入れて、簡単に覗けるようにしておく。焼却物を投入後3分間は、炉内で小爆発(ボンベ、密封の薬瓶など)があれば、のぞき穴から火が噴きだす場合があるので、注意することを忘れない。

 

●燃焼物に爆発物が混じる可能性のある場合は、防爆扉を出来る限りが近づけない場所に設ける。出来れば開口部は上向きにする。

  

●ゴムタイヤの焼却炉には耐火材は使えない。クラックにタイヤに含まれるカーボンブラックが入り込み、耐火材はボロボロになる。

 

動植物性残渣には、溶けるもの(バター、チーズ)が入る可能性がるので、廃プラ同様の液溜りを設ける。

 

 

 

 

 

 

 

5)に続く。