8)一酸化炭素の毒性

  

◎一酸化炭素の毒性。

 

   一酸化炭素の発火点は609℃であり、燃焼物が高温に熱せられると、燃焼物中炭素が分離され、酸素と結合する。炭素はつの架橋を持つ分子であるから、2つの架橋を持つ、酸素個と結びつくとCO₂(二酸炭素)となって安定する。しか酸素個と結びつくとCO(一酸化炭素)となり不安定で、この状態が多いと不完燃焼となる。発火点以上の高温で、酸素が豊富な空気を与えると、酸素と反応して二酸化炭素なり、完全燃焼となる。

   一酸化炭素の比重は0.967であり、空気と混ざりやすく(電気等)小さな火花や、熱源があれば爆発する。停電などで炉内が不完全燃焼状態になり、停電がわって、ブロアーが動き始め、新鮮な空気が流入すると爆発する恐れがあるから注意することだ。停電があると自動的にスイッチが切れ、ボタンを押さない限り始動しない回路にすること。停電が終われば誘引ファンを10秒程度動かし、炉内の可燃ガスを抜いてしうことが大切である。

   一酸化炭素は、呼吸器から体内に入ると、酸素を脳に運ぶヘモグロンと結びく。そのため酸素が脳に回らなくなり、脳が壊死してゆく。だから、長時間一酸化炭素を吸うと死に至り、短時間でも脳に後遺症が残り、それが重傷であれば植物人間になる。それだけに恐ろしいガスである。

 

 

◎誘引ファン・ブロアーと操作。

 

●ブロアー(供給空気)や誘引ファンはH鋼などで浮かさない。必ず基礎(コンクリート)に固定する。

 

●炉内に供給する空気には静圧Pa5kPa程度のブロアーがよい。炉床から空気を供給する場合は10kPa~15kPa程度のブロアーを使

用しないと、すぐに詰まってしまう。しかし底からの給気は炉内温度が急激に上がるので、炉内温度計で自動的に止まる工夫を必要とする。

 

●炉内空気を供給するには、小さなコンプレッサーでも使うのは危険である。空気が急激に供給されると炉は爆発、若しくは爆発的に燃え、誘引ファンでも追いつかないほど内圧が上がる。結果は焼却炉の隙間や穴から火が噴きだすことになる。

 

●送風機(ブロアー)は気にしなくていいが、誘引ファンは経験のある、信頼できるメーカーのものを使用し、シャフト、羽はSUS316、ケーシングはSUS306を使用する。

 

●誘引ファンの吸気、排気口には必ず耐熱性の蛇腹状のダクトをつけ、電動機の振動が炉に伝わらない工夫をする。

 

 

●誘引ファンの回転数は、操作盤において低速(15~20)、中速(40~45)、高速(55~60)の3段階に操作出来るようにする。通常運転は中速、炉内掃除、運転終了後は低速、炉内異常燃焼時は高速を使用する。

 

●誘引ファンのグリスは高温用を使用する。耐熱ファンのグリスは二週間に一回、ブロアーはか月に一回以上給油する。

 

●誘引ファンやブロアーの消音ボックスは、換気には音が漏れないようにギャラリーを使用する。

 

 

 

◎ダクト・配管。

 

●排ガスダクトは絶対に直角に曲げない。中心R>ダクト内径を守る。それでも水平から上がる部分にはばいじんが溜まる。

 

●ばいじんが溜まると、その部分に酸が凝縮し、SUS316でも簡単に腐食、若しくは孔食腐食が起こる。灰の箱と同程度の消耗品と考える。

 

●測定穴は出来る限り、測りやすい位置につける。CO濃度計ガス吸入穴、温度計の近くにして、2mくらい層流させた後の位置につける。乱

流の位置では正確なガス測定、温度測定は出来ない。

 

●有水状態では酸が強いとステンレスやアルマー加工でも腐食し、発錆をする。

 

●ダクトは先端で絞るようにして、途中は出来る限り断面積に余裕を持たせる。基準は誘引ファンの吸い込み口の径とする。

 

●配管、ダクト中若しくは二次燃焼中など、層流が流れている場合は上下で30100℃程度の温度差が出来る。温度計の感温部を指しこむ場合注意すること。

 

●配管、ダクトの材質は惜しまない事。

 

●配管中に取り付けたバルブには「常時開」「常時閉」の札をつける。

 

●ブロアーの風量の加減は、空気だまりより分離したパイプに、レバー式のバタフライ弁を使用し、弁の位置は操作盤の近くにまとめる。

 

●ブロアーは空気だまりを経由して、分離したパイプで炉内に接続る。

 

●炉内がプラス圧になり、ブロアーが止まったとき、炉内の高温のガスがブロアーに逆流することがある。その際ブロアーの蛇腹が焼ける場合

があるので、逆止弁をつける必要がある。

 

●空気ダクト、パイプの断面積は分岐してもその合計面積が、ブロアーの吸気径の断面積以上にする。それ以上細くすると圧損で流れない。圧損は径の変化、分流、配管内の荒さ、曲りによっても起こるが、中でも径を細くすることは最悪である。

 

●アルマー加工は無水状態では6年くらいの耐酸、耐熱性があるが有水状態では半年も持たない。

 

●寒冷地において焼却炉の設置場所が℃以下になる場合、冷却水の配管は塩化ビニルやポリエチレンを使用するか、金属の場合は断熱処理を施すこと。

 

●寒冷地における水のポンプは、凍ると動かした段階で破壊される可能性がある。凍ったポンプは温水をかけて氷を溶かして使用すること。

 

 

◎オイルタンク・バーナー・オイル配管。

 

 

●オイルタンクは焼却炉の一次、二次燃焼室、サイクロン集塵機など高温部分から、少なくとも3m以上離して設置すること。

 

●バーナーの圧力ゲージ、オイルタンクの液面計は操作盤で、操作する人から見え易い位置につける。

 

●オイルタンクの液面計はステンレス製の防爆タイプの(磁石で変化する)ものをつける。《東和制電工()・日本計器()

 

●オイルタンクは1000ℓを越えると危険物(資格がいる)となる。未満は少量危険物となる。

 

1000ℓの円筒のオイルタンクの天板は片面溶接で、耐圧を一番弱くする。爆発があった場合は上に抜けるようにする。天板は上に雨水がたまらないよう、円錐か傾斜をつけて腐蝕を防ぐ。

 

●オイルタンクの周辺は、漏れがあった場合の為に、オイルタンクより大きな容積を持った升を作り、その中央にタンクを設置する。周囲の壁はブロックの段積みとする。タンクの底は斜めとし、一番底側に水抜きのバルブをつける。升の外壁には升の水を抜くためのバルブをつけ、油水分離槽を通して、外部に流す。油はどんな場合にも絶対に外部に漏らしてはならない。

 

●バーナーオイルに微妙な砂や土が混じると、バーナーのポンプは固着してバーナーは故障する。だからオイルタンクには、人為的に不純物が投入されないように工夫、油の入口には施錠するくらいの用心が必要。

 

●バーナーやオイルタンクから油が漏れたり、吹いたりした場合、農業用水路や一級河川に流入するような位置、方向に焼却炉を設置しないこと。

 

●バーナーの炎は消えても、バーナーファンは炉内温度が200℃以上では切れないような電気回路にする。

 

●バーナーのダンパーは、誘引ファンの吸引力の関係もあり、メーカーの初期設定ではダメ(開きすぎる)な場合がある。

 

●廃棄物焼却炉のバーナーは灯油バーナーしか使えない。それ以外のバーナー(例えばA重油、廃油)を使う場合は県の許可を必要とする。

 

●バーナーの配管は燃料である灯油が、焼却炉の近くを通っているので、消防の検査では必ず高圧空気を通して、石鹸の泡でチェックされる。もし、消防が検査に立ち会わずとも、漏れは絶対に許されないので、同等の検査はしておくこと。

 

●バーナーの配管でバーナーのIN側には、必ずストップバルブをつける。バーナーのメンテナンスの際は、必ずこのバルブを閉める。配管内に圧力が残っている場合の用心のためである。

 

●バーナーを高低二箇所で使用する場合は、配管のバルブ位置に注意。位置の高い方にはバルブは要らないが、低い方には流量を調整するバルブが必要である。

 

●バーナーの配管、配線は必ず1.5mほどのフレキシブルにしておく。バーナーは非常時やメンテナンスの場合は必ず開くものである。バーナーはヒンジで開く方向を決め、配線、フレキシブル配管の方向、長さに注意する。

 

●バーナーのポンプは配管内のサビで、ロックして止まる。インの配管、発錆しない配管を使用する。

 

●油圧配管は炉の表面より300mm以上は離す。

 

 

 (9)に続く。