70.小型炉の法律改正。71.小型焼却炉の怖さ。

70.小型炉の法律改正

 

 「法律改正⌋が行われたのは平成14年の12月なのに、未だに知らないで違反行為を行う焼却炉のメーカーやユーザーのみならず、一般の人達にも徹底されていないようだ。だから市販のスーパー、日曜大工店の店頭にも並んでいるから驚きである。知らずに野焼きして逮捕されたり書類送検も跡を絶たない。詳細をここに記して「知らなかった」いう人を一人でも少なくしたい。

 

 この法律の改正は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律⌋により家庭用焼却炉も含めてすべての規模(0.5㎡・50kg未満の焼却炉も含む)の焼却炉に対して構造的な新基準が定められた(過去形である)。これによると以下の基準を満たしていない焼却炉での使用は不可となった。

~構造基準の条件 火床面積0.5㎡未満 焼却能力50kg/h未満の焼却炉対象~

①空気取り入れ口及び煙突の先端以外に焼却炉設備内と外気が接することなく、燃焼室において発生するガスの温度が800℃以上の状態で廃棄物焼却できるもの。

焼却に必要な空気の通風が行われること。

③外気と遮断された状態で定量づつ廃棄物燃焼室内に投入することが出来ること(二重扉の設置など)。

燃焼室中の燃焼ガスの温度を測定できる装置(温度計)が設けられていること(温度測定器の設置)。

燃焼ガスの温度を高温に保つことが出来るよう、助燃装置が設けられていること。

 

罰則

 構造基準(廃掃法第16条の2に規定する処理基準に含まれる基準)に適合しない廃棄物焼却炉での焼却行為廃棄物野焼きとなり、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、またはその併科に処せられる。

又、焼却炉を用いない野焼きの罰則は廃棄物処理で最も重い罰則となる行為で「5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはこの併科」の対象となる。又、法人の場合は「一億円以下の加重罰が科せられる」こともあるそうだ。

 

 小型焼却炉を見て温度計はついているか、バーナーはついているか、投入時には見えないかは外面から見える。せめてそれだけでも確認して、焼却炉は購入されるべきである。 

 「知らなかった⌋では済まされない。最近のインターネットの記事にも全国の「知らずに野焼きで逮捕された⌋という記事が多くみられる。注意していただきたい。排気口も煙突だけの自然通風では燃やすものによって周辺に強い悪臭を発したり、煙突が6mより低い(高いと建築法にかかる)場合は風向きにより周辺にが垂れ下がる(ダウンドラフト)こともあるから十分な注意が必要だ。

 

 

71.小型焼却炉の怖さ。

 

 ここでは炉床面積0.5㎡未満、処理量50kg未満のについてお話をする。これらののカタログを見ると構造基準を満足してバーナーや温度計も完備したものが多い。だから燃焼温度も800℃を謳っており立派な焼却炉であるから、当然投入扉も二重扉構造になっている。こんなの内容積はなぜかリットルとか立米で表されており、740リットル(0.74立米)なんて言うものは法律の処理量=50kgとどう違うのかよくわからない。燃やせるものも小さい字でプラスチックと書いてあり、もちろん廃プラと同じ意味だし廃プラの中には塩ビも含まれる。この廃プラの見かけ比重は公認(行政インフォメーション)だと0.35となっている。

 

 これで計算すると炉内には260kg入るし、半分でも130kg、1/3でも86kgは入る。しかしメーカーのカタログなどには処理量30kgとか書いてある。もし、あなたがこの小規模焼却炉にうっかりと1/3だけ、廃プラ塩化ビニルを放り込んだら大変なことになる。煙突から出る燃焼ガスは風向きによって強い刺激臭をまき散らし、100m遠方のご近所さんから大いなる苦情は来るし、役所や保健所やことによると警察に訴えられるかもしれない。その時あなたはどうしますか「私はカタログ通り燃やした!⌋と言っても、焼却炉の罰則は(そんなの関係ネェ!)使用者責任だという事を思い出してほしい、事業者責任だと1億円!。これが小規模焼却炉小型焼却炉怖さなのだ。小型焼却炉には塩化化合物を中和するような機能はないから、決して塩化ビニルサランラップ除草剤殺虫剤などを振りかけた草木は燃やさないことだ。殺虫剤除草剤の主な原料は塩素化合物なのです。

 

 塩素化合物炉内に入ると当然ダイオキシンが出来る。ダイオキシン塩素がなけば絶対に出来ない。このダイオキシンは正式には「テトラクロロジベンゾパラジオキシン」と呼ぶように、4つの塩素と2つのベンゼン基と2つの酸素でできており、これが高温(約800℃)にあうと分解する。どのように分解するかは分からないが、焼却炉のメーカーがダイオキシンを消滅させるというのはここまでである。しかしダイオキシンは部品がなくなったわけではないから、温度が下がると(約500℃~300℃)再び合成(再合成)をはじめる。

 燃焼ガス2次燃焼を過ぎると温度が下がり始め、煙突のあたりでは500℃、出口では400℃、ドラフトで煙突から空中に吹きだしたら約100℃位に温度が下がる。この段階でダイオキシンは再合成され空中に吐き出される。ここから先は誰も責任を持ってくれず、環境の中に漂い生物や大地に蓄積されてゆく。一昔前は埼玉県の所沢市でも問題になり、現在でもこのような循環が各地で繰り返されているのだろう。こんなことはメーカーもあずかり知らぬことである。

 もちろん小型焼却炉の類では重金属の害に関しても処理できるわけもなく、これは燃やす者が悪いとしか言いようがない。重金属は携帯電話とかボタン電池に含まれており、これらは絶対に焼却炉に放りこんではいけない。大形の焼却炉にあっても水銀やカドミウムの害は大きいし、すべて地球人類に還ってくるものだと覚えておいてほしい。

(追記) 家庭や職場でドラム缶や小型炉でゴミを燃やした経験は無いだろうか。現在の日本には把握できない数の小型焼却炉が稼働している。C県のデータでは事業所の12.8%、A県のデータでは26%の事業所が小型焼却炉を持っているとある。お寺や学校、役場や病院、家庭やドラム缶を数えるとこの数倍はあるはずだ。日本の事業所は全国で521万箇所以上あり、少なく見積もっても20%の事業所が小型焼却炉を持っているとして日本には、50万台を越える小型焼却炉があると考えられる。一方、一般廃棄物の一日の処理量は日本中1028台のデータがあり、17.6万ton/日処理されている。日本中の50万台の小型焼却炉が1時間に50kg燃やすと20万ton/日となり、世界一を誇る日本の廃棄物処理量を越えることとなる。

 小型焼却炉で燃やすのは純粋な木屑以外、印刷物にも布類にもサランラップにも、加工された木屑や合板や壁紙等(ビニルシート・チューブ・波板・雨トユは危険ですから絶対に燃やさないで下さい!!)、塗料や接着剤や殺虫剤、勿論テープや電線の被覆等絶縁物にも塩素は含まれている。塩素ガス(Cl=草木は枯れ金属は錆びる)や未来の遺伝子に禍根を残すダイオキシン類を撒き散らて、環境汚染を引き起こしているのはダイオキシン測定を免除されている小型焼却炉やドラム缶で燃やしている廃棄物なのです。